発毛・育毛・対談
発毛・育毛・対談

髪に対して正しい知識をお届けするために、「髪ナビ!」では様々な企業や日本の毛髪研究に携わる医師や大学教授にお話を伺いました。

育毛シャンプ− ヘアメディカル スカルプD
スカルプD

スカルプDは髪の毛に悩みを持つ方々の声と、その悩みと向き合ってきた各分野の専門医師たちの知識が結集されて誕生した新発想のヘアケア商品。
スカルプDは開発にあたり、リアップや不老林など36におよぶ育毛剤の開発に携わってこられた、徳島大学名誉教授 武田克之先生に総合監修をしていただきました。

スカルプD 詳しくはこちら
 

発毛・育毛に本当に効く新常識 最新研究成果による改訂版
「発毛・育毛に本当に効く新常識」

今回の対談でお話をお伺いした徳島大学名誉教授武田先生の著書。
武田先生は自他ともに認める「毛髪剤開発の第一人者」。
実に30種類以上の毛髪剤の研究・監修・開発に携わられています。
この本では、現在市販されている毛髪剤の徹底比較・分析を行ない、消費者側から見た、毛髪剤の選択と使い方紹介。

毛髪医療からの最新報告「発毛・育毛に本当に効く新常識」
著者:徳島大学名誉教授 武田克之

【ドクター】 徳島大学名誉教授 武田 克之氏
徳島大学名誉教授 武田克之 最終学歴  徳島大学徳島医科大学
昭和38年12月 徳島大学医学部助教授
昭和45年5月  徳島大学医学部教授昇任
昭和58年11月 徳島大学医学部 附属病院長併任
昭和61年11月 徳島大学医学部長併任
平成3年1月   徳島大学学長昇任
平成9年1月       〃    退官
平成9年6月   日本香料品科学会理事長就任
平成12年7月  徳島県公安委員就任

現在、徳島大学医学部名誉教授
【インタビュアー】 「髪ナビ!」プロデューサー/株式会社ペンシル社長 覚田義明
1989年 システムソフト社グループのエータイム社に入社。コンピュータ販売や印刷会社のシステムインテグレーション開発を経て、1993年 エクス・ツールス社に配属。1995年独立してペンシルを設立。インターネットコンサルティングを行い、数々のホームページを構築している。 株式会社ペンシル社長 覚田義明


お話をお伺いしたのは、1960年当時育毛に関する唯一の医薬品として認められた「センプリエキス」の研究をはじめ、「紫電」シリーズ、「カロヤン」シリーズ、「リアップ」など30種類以上、研究・監修・開発されたことで「皮膚科の第一人者」と呼ばれている徳島大学名誉教授武田先生。育毛研究の秘話から、育毛剤の現状 まで様々な話を深くお話していただきました。

※武田先生の対談は全4回に分けて掲載致します。(週一更新)
●第1回目:皮膚科の第一人者と呼ばれるようになった経緯
●第2回目:リアップの発売と日本の医薬品販売の現状
●第3回目:薄毛による不安症候群、病気による薄毛
●第4回目:研究に携わってきた人々、「髪ナビ!」について

皮膚科の第一人者と呼ばれるようになった経緯
●覚 田:
先生は30以上もの薬を研究・監修・開発してらっしゃると伺ったんですが、そもそもどういった経緯で育毛の研究をされようと思ったんですか?
●武 田:
私が1953年に徳島大学皮膚学科教室に入室した時の研究課題が、「内臓と皮膚との関連、例えば肝臓と皮膚、胃腸消化器臓器と皮膚」ということだったんです。そこで、研究を進めていたある日、患者さんが「胃が悪くなってから段々髪の毛が薄くなってきたんですが、どうしてですか」と聞いてきたんですよ。それで私は「胃が悪いので、栄養の吸収が悪いからだろう」と答えていたんです。
●覚 田:
なるほど。胃が悪い原因で髪の毛が薄くなっていったんですね。
●武 田:
ええ。そうしたら、その患者さんがその後、「実はセンブリという漢方薬が胃に良いと人に勧められて飲み始めたら、本当に胃の調子が良くなるにつれ、髪の毛も生えてきた」というんですね。それで、私は「内服して毛がはえるというなら、直接センブリそのものを皮膚から吸収させる、つまり、それを頭皮に塗ったらどうなのか」と考えて、 「SW(センブリエキス)」を作って塗ったんですよ。そしたら、毛が生えてきたんです。それで、これをひとつ育毛剤としては応用できないかなと思ったんですよ。
●覚 田:
発毛とか育毛とかに何か効くものがないかと探していたわけではなくて、センブリというものが偶然に見つかったというわけなんですか。
●武 田:
そうですね。私の研究は「皮膚と肝臓の関係」「皮膚と消化器の関連」というものでしたが、当時私の教室では皮膚の生理機能、皮膚の働きをいかにうまくとらえて数字で表わすか、というものが大きな研究の柱の一つだったっんです。
●覚 田:
皮膚と髪の毛って関係があるんですね。
●武 田:
そうなんですよ。毛髪や爪というのは、もともと皮膚の付属器、皮膚の一部が進化したものなんです。そこで、皮膚の生理機能の変動をみながら、「SW(センブリエキス)」をつけていってたら、皮膚の細胞の代謝が非常によくなって、活性化して実際に毛が生えてきたわけです。そうすると、次々と育毛剤の開発をあちこちから頼まれるようになり、育毛剤のうち唯一の 医薬品として「SW(センブリエキス)」が認められたわけです。
●覚 田:
へー、面白いですね!
●武 田:
それから、何十年もそれに続くものはありませんでした。最近になって「塩化カルプロニウム」という成分が第2号の医薬品として認められて、第一製薬からカロヤンシリーズとして発売され、その後最近のリアップにいたるわけです。これが、センブリの検討からはじまって育毛剤を次から次に開発してきた長い歴史とつながっているわけですね。
●覚 田:
それは、いったいいつ頃の話なんですか?
●武 田:
徳島大学名誉教授 武田克之 1955年頃から始めて、「SW(センブリエキス)」見つかってきたのは1960年頃ですね。40年前でしょうか。実際に研究開発した人は、もともと海軍兵学校に入学していたのですが、卒業前に終戦になってしまった。それで帰ってきて薬学部にはいって、うちの教室に入ってきたんですね。センブリの本体の有効成分を研究しているうちにそれが薄毛に効くことがわかってきて、外用剤として使ったんですよ。
●覚 田:
それは商品になったんですか?
●武 田:
第一製薬の「紫電」という商品になりました。「紫電改」というのはね、覚田さんはお若いからご存じないかもしれませんが、海軍の飛行機の名前なんですよ。
●覚 田:
あっ、知ってますよ。ゼロ戦の「紫電改」ですよね。
●武 田:
そうです。その彼にとって海軍時代の昔懐かしい名前だということでつけたんです。又、紫の美しい黒髪に電撃的に効くという意味もこめて、「紫電」という名前を選んだんです。それから、約40年の間に「紫電」から「紫電改」になって「紫電改Z」となって発売されていったんですよ。
●覚 田:
ということは、日本で医薬品としての育毛剤は、センブリの研究開発から始まったということなんですね。先生はそれを作られた方なんですか?
●武 田:
基礎開発に携わるというか、「SW(センブリエキス)」を育毛剤として、初めて応用に取り組んだんです。
●覚 田:
その後、どのような研究をされたんでしょうか。
●武 田:
「塩化カルプロニウム」を開発しました。これは、どうやって開発されたかといいますと、円形脱毛症という病気がありますよね。これは、皆さんご存じかとは思い ますが、今まで伸びてたものが急に抜け出す病気です。突然、毛根が毛を作るのを一斉にやめてしまうのです。ちょうど、動物の毛変わりみたいになってしまうんですね。
●覚 田:
急に一気に抜けてしまうんですから、本人は辛いですよね。
●武 田:
悩むでしょうね。それで、そのうち円形脱毛症が、よく外来で来るようになったんです。その当時、「オビソート」という局所へ注射する血行促進剤があったんですが、直接頭皮に注射するんですよ。これは痛いんです。
●覚 田:
想像するだけで痛そうですね。
●武 田:
当時は、育毛には一貫して血行促進作用のあるものが求められていたんです。当時、第一製薬の社長の長男が京都大学の薬学部にいたんですよ。それで彼が、「オビソート」の成分は「アセチルコリン」というんですが、「アセチルコリンには多くの種類があるが、この中から優れたものを選んでくれ」と言ってうちの教室に持ってきたん です。いろんなアセチルコリンの製剤を比較しながら調べてみると、「オビソート」より、5倍から10倍強いのが出てきたんですよ。それが、「塩化カルプロニウム」 なんですね。
●覚 田:
それも、医薬品として発売されたんですか。
●武 田:
ええ、第2弾の育毛医薬品として登録されました。薬品名としては、第一製薬の「フロージン」と命名されたんです。それを毎日使う育毛剤として販売するためには、何倍かに薄めて、いろんな有効成分を加えて作ったのが、いわゆる「カロヤン」「カロヤンハイ」「カロヤンS」などの一連の育毛剤です。これが第一製薬のカロヤン系育毛剤の一つの流れですね。


男性ホルモンの影響
●覚 田:
他にも、武田先生の研究内容を教えてください。
●武 田:
そうですね、例えば「紫電」ができて、現在の「紫電改Z」まで進んできているわけですが、「紫電改Z」には「チョウジ」という生薬の有効成分が入っているんです。もともと血行促進開発からはじまった育毛剤は、ペンタデカンのように、はいってきた有効成 分をよく効かすためにエネルギーを付与してやって、エネルギーを毛根に働きかける ということから、こういったものを使って開発するようになったんです。
●覚 田:
近頃、女性も薄毛が進行してきているといいますが、どうしてなんでしょうか。
●武 田:
最近は女性の薄毛も増えてきていますね。女性は女性ホルモンの作用によって、禿げることはないと言われていたんですが、時代とともに社会進出も増えて、ストレスによる抜け毛も増えてきたようですね。
●覚 田:
男性の薄毛とは違うんですか?
●武 田:
徳島大学名誉教授 武田克之 インタビュー 男性の場合は、思春期を過ぎる頃から男性ホルモン(T)が分泌してくるんですよ。そうすると、Tが毛の製造工場である毛乳頭に働きかけて細胞の分裂が止まって、若はげの 原因をつくると言われています。これは、昔からいわれているんですよ。中国の後宮の男性召し使いで、「宦官(かんがん)」という職業があるのですが、この人たちは 睾丸をとってしまうんです。
●覚 田:
どうしてそんなことをするんですか?
●武 田:
男性ホルモンがなくなることによって、性欲もなくなるわけです。後宮というところは女性ばかりいるところですから、男性が入るといろいろ危ないでしょう。ですから、女性を守る手段としてそうされていたわけです。すると、そういう人たちは、毛が抜けないんですよ。でも、その「宦官(かんがん)」の人にもう一度男性ホルモンを打つと、また毛が抜けてくる。こういったことから、男性ホルモンははげの原因と昔から言われているんです。
●覚 田:
へー、面白いですね。
●武 田:
最近になって「チョウジ」を含めて、いわゆる抗男性ホルモン作用をもつ薬物がでてきました。「フィナステリド」もその一つですが、この成分は前立腺肥大症の治療薬として用いられてきたのですが、若はげを止める作用があるということも分ってきたんです。
●覚 田:
そういった育毛剤は女性も使えるんでしょうか。
●武 田:
大正製薬が「リアップ」発売にあたり、女性を対象にしていなかったものですから「女性は使えない」となっていますが、女性に悪いわけではないんですよ。結構、 ご主人の育毛剤を買うふりをして、自分で使っている人も多いようですよ。(つづく)

というように、数々の研究、開発に携わっている武田先生にお話を伺っています。この対談は全4回(週一更新)続く予定です。第2回目は、「リアップ」の 販売までの話や、それに附随して日本の医薬品販売の現状など、一般の人までなかな か伝わらないお話をお伺っています。お楽しみに!
1 2 3 4