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髪に対して正しい知識をお届けするために、「髪ナビ!」では様々な企業や日本の毛髪研究に携わる医師や大学教授にお話を伺いました。

【ドクター】 徳島大学名誉教授 武田 克之氏
徳島大学名誉教授 武田 克之氏 最終学歴  徳島大学徳島医科大学
昭和38年12月 徳島大学医学部助教授
昭和45年5月  徳島大学医学部教授昇任
昭和58年11月 徳島大学医学部 附属病院長併任
昭和61年11月 徳島大学医学部長併任
平成3年1月   徳島大学学長昇任
平成9年1月       〃    退官
平成9年6月   日本香料品科学会理事長就任
平成12年7月  徳島県公安委員就任

現在、徳島大学医学部名誉教授
【インタビュアー】 「髪ナビ!」プロデューサー/株式会社ペンシル社長 覚田義明
1989年 システムソフト社グループのエータイム社に入社。コンピュータ販売や印刷会社のシステムインテグレーション開発を経て、1993年 エクス・ツールス社に配属。1995年独立してペンシルを設立。インターネットコンサルティングを行い、数々のホームページを構築している。 株式会社ペンシル社長 覚田義明


お話をお伺いしたのは、1960年当時育毛に関する唯一の医薬品として認められた「センプリエキス」の研究をはじめ、「紫電」シリーズ、「カロヤン」シリーズ、「リアップ」など30種類以上、研究・監修・開発されたことで「皮膚科の第一人者」と呼ばれている徳島大学名誉教授武田先生。育毛研究の秘話から、育毛剤の現状 まで様々な話を深くお話していただきました。

※武田先生の対談は全4回に分けて掲載致します。(週一更新)
●第1回目:皮膚科の第一人者と呼ばれるようになった経緯
●第2回目:リアップの発売と日本の医薬品販売の現状
●第3回目:薄毛による不安症候群、病気による薄毛
●第4回目:研究に携わってきた人々、「髪ナビ!」について

◆第3回目:薄毛による不安症候群、病気による薄毛
※第1回目からご覧になりたい方はこちらから

薄毛による不安症候群
●覚 田:
お話をお伺いしていますと、先生はいろいろなものを開発されてているようですが、今でも行なっているんですか?
●武 田:
今は開発が逆に難しくなっていますね。というのも、今はインフォームドコンセント(説明と同意)といって、患者さんに説明して同意を得て、納得してもらって有効性を確かめてから使うようになったんですが、なかなか納得していただけないんで す。
●覚 田:
確かに納得してもらうのは難しそうですね。でも、僕だったら本気で悩んでいたら使うかも。
●武 田:
後もう一つの問題は、薄毛というのは、円形脱毛症を始め2〜3の脱毛症以外は 病気とは認められていないわけです。若はげは違いますが、普通は年をとっておこる生理的な現象ととらえられていて、疾患ではないということになっています。病気と 認定されていないわけですから、保険がききません。
●覚 田:
本当に病気じゃないってことなんでしょうか?
●武 田:
病気じゃないということになってますね。しかし、本当に悩んでいる人は若はげ恐怖症とか、薄毛恐怖症というものになるんですよ。カウンセラーも必要ですし、心を癒すために、本当は不安症候群として認められるべきだと私は思います。
●覚 田:
私も、今回「髪ナビ!」を作っていろいろな方とお話しましたが、薄毛であることを悲しんだり、そのために仕事や恋愛がうまくいかなかったりして、悩んでいる人が多いと感じました。その上、病院に行っても相手にしてもらえないというと、違う病気になっていくような、そんな気がしますね。
●武 田:
そうですね。
●覚 田:
病気じゃないといわれても、体のことなのに病院以外のどこに相談に行けばいいのか。「もうどこに行っていいのか分らない」というのが現状だと思うんですね。
●武 田:
本当にその通りです。薄毛でない人からすると「そんなことで命までとられるわけじゃないし、何てことないよ」等と言われても、悩む気持ちはどうにもならないんですよ。悩んでいる本人の立場に立って、早く心を癒してあげることが必要だと私は思います。
●覚 田:
最近はセラピストとかカウンセラーとか多くなってますが、最初からきちんとお医者さんの方で受けれたら安心ですよね。
●武 田:
徳島大学名誉教授 武田 克之氏 子供でも円形脱毛症になって、「おまえハゲてるから、近づいたら感染する」とか言われて、疎外されるわけですよ。そうなると、だんだんと引きこもりがちにな り、登校拒否になったりします。もともと神経質でストレスや不安から円形脱毛症にかもしれないのに、さらにはげが広がって、多発性性円形脱毛症になり、更には全頭脱毛症に至ることもあり、そうすると、もうどうにもならない。

●覚 田:
大人でも辛いのに、子どもだとよけい傷付きそうですね。
●武 田:
そんな風になる前に、本人の身になって診療してくれる医者が欲しいんですけれどもいないですね。子供に限らず、薄毛恐怖症の人はたくさんいるんだけれども、保険もきかないし、進んで病院には来ません。また、待たされて多くの人と顔をあわせる大学病院に行くのも気が進まないでしょう。でも、気が落ち着かないから近くの薬店で育毛剤を買っていくので、育毛剤がどんどん売れているわけですね。
●覚 田:
若はげとか薄毛などの悩みはどこに相談に行っていいのか、一般的に分らないですよね。とりあえず皮膚科に行くといいと聞いたんですが。
●武 田:
そうですね。毛髪の異常は皮膚科の専門領域ですが、皮膚科医の中でも、毛髪のトラブルを専門とする人は限られています。また、皮膚科の専門の中でも「命に別状はないから、良いじゃないか」という考え方で診療されたのでは、嫌な気持ちですよ ね。患者の悩みを聞いて、それに誠実にこたえてやるという態度を持ってないと。皮 膚科の中でも先生を選んで行くべきですね。
●覚 田:
海外ではどうなんでしょうか。
●武 田:
海外などでは、育毛剤の研究しているところは広がっていて非常に盛んです。日本人よりも西洋人の方が若はげが早いんですね。
●覚 田:
年齢的にですか?
●武 田:
外人は、もともと髪の毛も細いので、早めに地肌が透けて見えるということもあるのですが、一般的に早めにはげになっています。遺伝的な体質もありますが、肉食ですから酸性の食事が多いでしょう。欧米風の料理は薄毛を促進すると言われています。ですから、欧米では育毛剤の研究が盛んなんですよ。日本でも刺激されて、どういう育毛剤が良いかという基礎的な研究をする人が多くなっていますが、反対に臨床面の研究を進める人は段々少なくなっていますね。それで、「これでは、いかん」と いうことで頭髪専門のクリニックも出来てきているわけです。これから、この分野はどんどん広がっていくのではないでしょうか。
病気が原因でも薄毛になる
●覚 田:
髪が抜けてきたときに、若はげでも円形脱毛症でもなく「病気」が原因とということもあるんですよね。
●武 田:
たくさんあります。甲状腺のように内分泌ホルモンに関係あるものや、亜鉛欠乏症、薬物障害、ダイエットによるもの、蛋白質の不足など様々です。毛というのはケラチンという蛋白質、硬蛋白でできています。ですから、例えばダイエットで食事を抜いたりすると低蛋白になり、毛を作る材料がこないことになります。しかも今のように忙しくて常に自律神経が緊張していると、血行が悪くなり、段々毛が薄くなってくるんですね。
●覚 田:
そういった人が、それを知らずに育毛剤とか発毛剤とか塗っても治りませんよね。ということは、やはりそういったことも皮膚科に行ってみてもらうと、「これは違う」と分るんですね。
●武 田:
徳島大学名誉教授 武田 克之氏インタビュー そうです。免疫機能に異常があると、その裏にはいわゆる膠原病だったりしま す。また、腎臓に障害があると髪が薄くなることはよく知られていますね。


●覚 田:
では、薄くなってきたといって、薬局にいって育毛剤をかけても、実はそれは体のどこかの機能の障害があって、病気の危険信号だったということもあるわけですね。
●武 田:
そうですね。だから薄くなってきた人は、まずは病院に行って原因を明確にするのがいいですね。
●覚 田:
なるほど。やみくもに対応してもだめなんですね。
●武 田:
ただ、唯一の例外が肝臓です。肝臓が悪くなると、逆に毛が濃くなることもあります。
●覚 田:
濃くなるんですか?へー、病気で髪が濃くなることもあるんですね。
●武 田:
これを研究しているところもあります。例えば、髪の研究で有名な順天堂大学 が、「サイトグロスファクター(肝細胞刺激因子)」という、肝細胞が炎症を起こすときに出す成分を使って、育毛剤を作ろうとしてるんですよ。ですが、非常に分子量 が大きくて皮膚が吸収しないんですよね。現在もどうにか出来ないかということで、 研究を続けておられると聞いています。
●覚 田:
私も順天堂大学は頭髪の研究では有名でよく聞く名前だったのですが、そういう研究をしているからだったんですね。では、今は素材を見つけたレベルで、商品開発を行なっているんですね。
●武 田:
出来るかどうかは分りませんが、必ず10年先には製品化されるということを言われています。
●覚 田:
私たちも、「髪ナビ!」のおかげで様々な情報が入ってくるわけですが、ある人達には効くのに、ある人には効かなかったり、またはある薬を使ったら、たまたま毛の発育に影響してきたとか、面白いですね。また、そういうことがおこると「それは何故か?」というところから、遡っていくというのが多いですよね。最近いろいろな 成分が見つかった、という話が多いような気がするんですが、きっとこれからは飲むだけで生えてきたりするような、凄いものも出てくるんでしょうね。
●武 田:
ただ、みるみる生えてくるなんてことはないと思います。8〜16週間という髪のサイクルがありますし、髪が育って目に見えるようになり、生えたと実感するまでにはかなりの日時が必要なんです。逆に「みるみる生える」等と宣伝しているところの育毛剤は、眉つばものが多いと思いますね。
●覚 田:
後、睡眠時間が短いと髪がどんどん生えてくると聞いたことがあるんですが、 「起きてる間は生えてきて、寝てる間は生えてこない」っていうのは、本当なんでしょうか。
●武 田:
同じ睡眠時間の人でも、食事のバランスをきちんととっている人と、とっていない人などで差が出てくるので、はっきりとしたことは言えないですよね。
●覚 田:
そうですか。よく体とかは「寝てる方がよく育つ」って言いますよね。でも、髪の毛は逆で、寝ないほうが育つって聞いたんですが。
●武 田:
ひげは確かに伸びますね。
●覚 田:
僕は、それが何か発毛の研究になにか役立てたられると思うんですけど。
●武 田:
やっぱり前向きに生きてる人というのは、睡眠が少なくてもどんどん行動を起こしていますから、食事のバランスもきちんととってれば毛は生えると思います。
だけど、髪の毛自身は午後9時頃を頂点にして、眠ってる間に細胞分裂を繰り返しますから、午後9時前後はのんびりと気をつかわずに横になった方がいいと思いますよ。
●覚 田:
なるほど。あまり気にせずに、きちんと寝たほうがいいみたいですね(笑)。そういえば、最近カリスマ美容師という方と話す機会があったんですが、最近カットをしていると女性の頭に、時々、円形のはげを見つけるって言っていました。女性本人は気付いていないようでしたが。でも、どんどん場所が変わるから、一つ治ってまた新たにできているのではないかって言っていましたね。ですから、円形脱毛は大体は 自然に治るものだと思うといってたんですが、どんどんひどくなる人もいますよね。
●武 田:
因子が濃い人はストレス、睡眠不足、会社の上司との不和なんかで、円形脱毛症になるんですよね。円形脱毛症は、10円玉大くらいのものが1〜2個、せめて3個くらいなら自然に治るんですが、4個を超えるとどんどん広がっていくんですよ。また、生え際を含めて大きい脱毛ものができた場合、全体に広がっていきますね。(つづく)

第4回目の来週は、いよいよ最終回です。武田先生が治療の際に行なったユニークな発想や、なかなか他では聞けないような面白いエピソードなどを教えていただきまし た。こんな話が聞けるのは、「髪ナビ!」だけです!
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