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髪に対して正しい知識をお届けするために、「髪ナビ!」では様々な企業や日本の毛髪研究に携わる医師や大学教授にお話を伺いました。

【ドクター】 久留米大学医学部皮膚科 助教授 森 理氏
1981年久留米大学医学部卒業
1985年〜86年まで米国ウィスコンシン大学留学
1991年医学博士号取得
現在、久留米大学医学部皮膚科助教授
久留米大学医学部皮膚科 助教授 森 理氏
【インタビュアー】 「髪ナビ!」プロデューサー/株式会社ペンシル社長 覚田義明
株式会社ペンシル社長 覚田義明 1989年 システムソフト社グループのエータイム社に入社。コンピュータ販売や印刷会社のシステムインテグレーション開発を経て、1993年 エクス・ツールス社に配属。1995年独立してペンシルを設立。インターネットコンサルティングを行い、数々のホームページを構築している。

薄毛・脱毛の原因はまだ解明中です
●覚 田:
薄毛になる人の環境や脱毛の種類は様々だと思うのですが、原因は解明されているのでしょうか?
●森:
原因についてはいろいろ言われていますが、科学的にはどれが正しいのか全く解明されていないといったところが現状です。
●覚 田:
これだけ医学が進歩しているのに、まだ原因さえ分っていないんですね!
●森:
そうなんです。皮膚科診療の中で一番遅れている分野でしょうね。研究に国の予算をかけてくれないんです。まず予算をかけるのは、命がなくなる病気、次にアトピー性皮膚炎です。髪の毛や爪、汗などは皮膚の付属物だといわれていますから。痛くも痒くもないですし、死にもしないですし。
●覚 田:
死にはしないでしょうけど、悩んでいる人はかなりいますよね。何とか国から予算をもらえないんでしょうか?
●森:
そもそも「若はげ」というもの自体、厚生省が病気として認めていないんですよ。
●覚 田:
えー!!厚生省も認めてくれていないんですか!でも、若いのに毛が薄くなっている人とか、かなり深刻に悩んでいると思いますよ。
●森:
いわゆる「若はげ」に関しても、研究材料が少ないのでなかなか研究が進まないんです。つまり生きていて、頭の皮膚をくれる人は少ないですから。どうしても動物実験になってしまうのが現状ですね。
●覚 田:
病気で脱毛・薄毛になる人もいらっしゃるんですよね。
●森:
もちろん病気でなる人も大勢いらっしゃいます。原因としては、今のところ抗癌剤の副作用や梅毒、甲状腺の病気などの感染症以外は解明出来ていないんですが、まだ様々な要素があるでしょうね。
●覚 田:
久留米大学医学部皮膚科 助教授 森 理氏 それでは、髪が薄くなったらどうすれば良いんでしょうか?
●森:
日本では、どこの病院でも診療は受けることが出来ますよ。ですから、いろんな病院に行って意見を聞いた方が良いと思います。
●覚 田:
それは保険がきくんでしょうか?
●森:
それは大丈夫です。抜け毛や脱毛についての検査には、保険がききますよ。というのも、建前上は何か他の病気にかかってないかどうかを判断するための検査ですから。とにかく「若いのに髪が薄くなってきたな」と思ったら、一度病院に行くことをおすすめします。もしかしたら、本当に何か病気かもしれないですからね。


アメリカでは、患者同士の交流が盛ん
●覚 田:
アメリカでは脱毛症の患者さん同士の交流があると聞いたことがあるのですが?
●森:
そうですね。米国脱毛症協会というものが設立されています。そこに入会したり、定期刊行物を出したリ、集会を催して互いの悩みを聞いたりしています。脱毛以外でもいろんな病気に関する会が行われています。一人で悩むよりは皆で集まって検討する、という感じですね。
●覚 田:
なるほど。一人で悩むようなことはせずに、皆の意見を聞いて自分はどうするのか考えるんですね。「自分の身は自分で守る」という考え方なんでしょうね。日本にはどのような髪の学会があるんでしょうか?
●森:
「日本皮膚科学会」と「毛髪科学学会(基礎研究の会)」というのがあります。
●覚 田:
学会ではどのようなことをされるんですか?
●森:
久留米大学医学部皮膚科 助教授 森 理氏インタビュー
新しく開発された薬など、学会で発表します。学会の論文発表によって、新しい発毛法がいろいろと見つかっています。
●覚 田:
論文を書いたら、すぐに発表できるんでしょうか。
●森:
いえ、レフリーが論文をチェックして発表できると判定されたものだけ、発表出来るようになっています。
●覚 田:
学会では、新しい治療法の開発など見つかりつつあるんですか?
●森:
科学的な裏づけがないと難しいんですよ。また、学会で治療の研究発表があったとしても、それを一般的なレベルで伝わりにくいんです。生物学や細胞レベル、DNAレベルの話になりますので、一般の人には分かりにくいでしょう。
●覚 田:
日本ではまだでも、海外では特効薬に近いものがありそうですけど。
●森:
その昔、中国で「101」という薬が有名になったことがあります。ですが、これには発癌剤が入っていました。
●覚 田:
発癌剤!?何で髪を増やす薬に発癌剤が入っていたんですか?
●森:
髪が増えるということは、細胞が増えるということですから。海外では、このような例が少なくないですので、安易に海外の発毛剤を使うのはやめた方が良いでしょう。日本の薬は検査をしていますので、大丈夫だと思います。
円形脱毛症はストレスから?
●覚 田:
円形脱毛症も最近増えていると聞きますが、これはどうしてなんでしょう?
●森:
遺伝子と環境要因によるものだと考えられています。ある一部分の円形の脱毛から始まって、体毛全体がなくなっていくこともあります。
●覚 田:
体毛全部がなくなるなんて、恐いですね。円形脱毛症の原因は、一般的にストレスだと言われていますが、本当なんですか?
●森:
これも、はっきりとしたことは分っていないんです。少なくとも20世紀の研究ではストレスと円形脱毛症との間には関連を見い出すことはできませんでした。急に出来たり、治ったりしますし。ある日突然増悪したりもするのです。
●覚 田:
原因が分らないのに突然治らなくなるなんて、想像するだけでもぞっとしますね!何か良い治療法はないんですか?
●森:
そうですね、円形脱毛症に特化した治療法として、「局所免疫療法」というのがあります。これだと、4割は完治しますよ。「先天性無毛症」という生後半年で全ての体毛が抜けてしまう病気の場合は、遺伝子治療のみですが。
●覚 田:
へー、そんな治療法があるんですか!こういう情報が一般の人に伝わりきれていないのは、問題ですよね。
●森:
そうですね。円形脱毛症に関する私の治療法なども、論文の発表によって他のところでも同じように出来るんですよ。ただ、こんな風に本格的にやっているところはあまりないと思います。
●覚 田:
それでは、どこで患者さんは森先生のことを知ってくるんでしょう。
●森:
「メディカルトリビューン(医師用の雑誌)」に私の記事が取り上げられているのを見て、遠方の患者さんからも問い合わせがありますね。
●覚 田:
森先生の論文を読みたいと思ったらどうすれば良いんですか?
●森:
中央医学雑誌のホームページにアクセスすれば見れます。そもそも、ヘアサイクル一つをみても結果は分っていますが、何故そういうサイクルになるかは分っていませんから、これからもっともっと研究が必要です。まだ謎の部分が多いので、解明していきたいと思っています。
●覚 田:
髪の毛って、まだまだ分っていないことが多いんですね。薄毛で悩む人が少しでも減るように、研究がんばってください!





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